知っておきたい相続税の基本!対象の財産から計算方法・期限までわかりやすく解説

「親が高齢になってきて、そろそろ相続税のことが気になり始めた」「うちは相続税を払う必要があるのだろうか?」と不安に思っていませんか?

相続税は、事前の知識があるかどうかで、いざという時の負担や手続きの手間が大きく変わる税金です。今回は、相続税の基礎知識を初心者の方にも分かりやすく6つのポイントに分けて解説します。

目次

相続税の対象になる財産

相続税というと、現金や不動産だけが対象と思われがちですが、実はそれ以外にもさまざまな財産が対象になります。大きく分けると以下の3つです。

  • 本来の相続財産
    現金、預貯金、土地、建物、株式・有価証券、車、貴金属、骨董品など

  • みなし相続財産
    亡くなったことをきっかけに受け取る財産(死亡保険金や死亡退職金など)

  • 生前贈与された財産
    亡くなる前の一定期間内に生前贈与された財産(※税制改正により、従来の3年間から最大7年間へと段階的に対象期間が延長されています)

一方で、住宅ローンや借入金などの「マイナスの財産」や「葬儀費用」は、プラスの財産から差し引いて計算することができます。

相続税の申告が必要なケース

すべての人に相続税の申告が必要なわけではありません。申告が必要になる基準は、遺産の総額が「基礎控除額(きそこうじょがく)」を超えているかどうかです。

基礎控除額は、以下の式で計算します。

基礎控除額の計算式

3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

相続人の人数ごとの基礎控除額の目安は、以下の図のようになっています。

法定相続人の人数基礎控除額の計算式基礎控除額(非課税枠)
1人3,000万円 +(600万円 × 1人)3,600万円
2人3,000万円 +(600万円 × 2人)4,200万円
3人3,000万円 +(600万円 × 3人)4,800万円
4人3,000万円 +(600万円 × 4人)5,400万円
5人3,000万円 +(600万円 × 5人)6,000万円

遺産の総額がこの「基礎控除額」の金額以下であれば、相続税はかからず、税務署への申告も原則として不要になります。

後述する「特例」を使うことで最終的な税金が0円になる場合でも、遺産総額が基礎控除額を超えているなら申告そのものは必須です。「税金がゼロだから何もしなくていい」と思い込んでいると、後から税務署より指摘を受ける原因になるため注意しましょう。

相続税の計算方法

相続税の計算は少し特殊なステップを踏みます。遺産を「実際に引き継いだ分け方」でそのまま計算するのではなく、「一度、法律で定められた割合(法定相続分)で分けたと仮定して家族全体の税金総額を出してから、実際の取り分に応じて分担する」という流れをとります。

全体の流れは大きく分けて以下の3ステップです。

STEP
正味の遺産額を出す

プラスの財産からマイナスの財産を引き、そこからさらに「基礎控除額」を引いて、課税対象となる遺産額を算出します

STEP
相続税の総額を出す

課税対象の遺産を「法定相続分」で分けたと仮定し、それぞれの仮の税額を計算して合算します。これで「家族全員で納める税金の総額」が決まります。

STEP
実際の納税額を出す

ステップ2で出た総額を、実際に財産を引き継いだ割合で分け合います。そこから各人の「税額控除」を差し引いて、最終的に各自が税務署へ納める金額が決定します。

相続税の主な特例

相続税には、残された家族の生活基盤を守るために、税負担を大幅に軽減できる強力な「特例」が用意されています。代表的なものは以下の2つです。

  • 配偶者の税額軽減
    亡くなった方の配偶者(妻や夫)が相続する場合、1億6,000万円、または法定相続分のどちらか多い方の金額までは、相続税がかかりません。

  • 小規模宅地等の特例
    亡くなった方が住んでいた自宅の土地などを相続する場合、一定の条件を満たせば、土地の評価額を最大80%も減額できる制度です。都市部に一戸建てを持っている場合などに、非常に大きな効果を発揮します。

実際の計算例

それでは、具体的な例を使ってざっくりと計算の流れを確認してみましょう。

【家族構成と条件】

被相続人:父親
法定相続人:母親(配偶者)、長男の2人
正味の遺産総額:8,200万円(すべて現金と仮定)
実際の分け方:母親が5,000万円、長男が3,200万円

STEP
課税される遺産総額を出す
  • 基礎控除額:
    3,000万円 +(600万円 × 2人)= 4,200万円

  • 課税対象の遺産:
    8,200万円 − 4,200万円 = 4,000万円
STEP
法定相続分で分けて税金の総額を出す

法定相続分は、母親が2分の1、長男が2分の1です。

  • 母親の仮の税額:
    2,000万円 × 税率15% − 控除額50万円 = 250万円

  • 長男の仮の税額:
    2,000万円 × 税率15% − 控除額50万円 = 250万円

  • 相続税の総額:250万円 + 250万円 = 500万円
STEP
実際の取り分で分けて、特例を引く

実際の相続割合は、母親が約61%(5,000万円 / 8,200万円)、長男が約39%(3,200万円 / 8,200万円)です。

  • 母親の本来の税額:
    500万円 × 約61% = 約305万円

「配偶者の税額軽減」を使うため、実際の納税額は0円になります。

  • 長男の本来の税額:
    500万円 × 約39% = 約195万円

結果として、この家族が最終的に支払う相続税の合計は195万円(長男の負担分のみ)となります。

申告は期限内に

相続税の申告と納税には、法律で決まった厳しい期限があります。

【相続税の申告・納税期限】
相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内

この期限を1日でも過ぎてしまうと、以下のような大きなデメリットが発生します。

  • 本来納める税金に加えて、「延滞税」「加算税」といったペナルティの税金が上乗せされる。

  • 先ほど紹介した「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といったお得な特例が原則として使えなくなる。

10ヶ月というと長く感じるかもしれませんが、お葬式や法要の準備、財産の調査、遺産の分け方を決める話し合い(遺産分割協議)などを進めていると、時間はあっという間に過ぎてしまいます。

万が一、期限に間に合いそうにない場合や、土地の評価など計算が複雑で不安な場合は、早めに相続専門の税理士などの専門家に相談し、余裕を持って準備を進めるのが安心です。

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この記事を書いた人

本サイトを運営している現役FP

■経歴■
保険代理店で10年以上活動し2,000世帯以上とFP相談を行うも手数料ビジネスに嫌気がさし、FIREの実現を機に独立。

商品を販売しない自由なFPとして、自分が本当に伝えたいことを「わがまま」に遠慮なく有益な情報をお届け!

■保有資格■
-FP1級技能士
-CFP®
-証券外務員一種
-宅地建物取引士
-中小企業診断士
-貸金業務取扱主任者

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