「将来のお金がなんとなく不安」
「資産運用を始めなきゃいけない気がするけれど、何から手をつければいいかわからない」
マネー相談室にいらっしゃるお客様の多くが、このような「漠然とした不安」を抱えています。SNSやニュースでは「老後2000万円問題」や「投資ブーム」が叫ばれ、焦りばかりが募ってしまう。そんな経験はありませんか?
でも、安心してください。お金はあくまで、あなたが幸せな人生を送るための「手段」にすぎません。
この記事では、経済的な幸せの状態である「ファイナンシャルウェルビーイング」を実現するために、私たちが相談室で提案している「5つのステップ」を公開します。難しいテクニックは必要ありません。正しい手順を知ることで、不安は「確信」と「行動」に変わります。
ファイナンシャルウェルビーイングとは
最近よく耳にするようになった「ウェルビーイング(Well-being)」。これは、身体的・精神的・社会的に満たされた「幸福な状態」を指します。
これをお金に当てはめたものが「ファイナンシャルウェルビーイング」です。単に「大金持ちになること」ではありません。
お金は人生を豊かにする「道具」
ファイナンシャルウェルビーイングとは、「現在および将来のお金に対して、自分でコントロールできており、安心感を持っている状態」のことです。
例えば、日々の支払いに追われていないこと。予期せぬ出費があっても動じない貯蓄があること。そして、自分の叶えたい夢や目標に向かって、お金という「道具」を自由に使えている状態を指します。
ゴールは「安心」と「選択肢」
資産形成の真の目的は、通帳の数字を増やすこと自体ではなく、「人生の選択肢を増やすこと」にあります。
「嫌な仕事を辞める」「子供に好きな教育を受けさせる」「年に一度は家族旅行に行く」。こうした選択を、お金を理由に諦めなくて済む状態。それが、私たちが目指すべきゴールです。
最短ルートは「FP相談」にある理由
このゴールにたどり着くために、独学で突き進むのも一つの手ですが、実は「FP(ファイナンシャルプランナー)への相談」が最短ルートです。マネー相談室の私たちが、なぜ対面での相談をおすすめするのか、その理由をお話しします。
自分だけの正解が見つかる
インターネット上には「S&P500が最強」「保険は不要」といった情報が溢れています。しかし、これらはあくまで一般論。家族構成、年齢、価値観、リスク許容度が違えば、正解は180度変わります。
FP相談では、あなたの状況を深くヒアリングし、「あなただけのオーダーメイドの正解」を導き出します。
「仕組み」で感情に左右されない
人間は感情の生き物です。株価が暴落すれば怖くなって売りたくなり、贅沢をしたくなれば計画が崩れます。
プロと一緒に「自動的にお金が貯まり、増える仕組み」を作ってしまえば、日々の感情に振り回されることなく、淡々とゴールへ近づくことができます。これは、一人ではなかなか難しいことです。
①理想を描く「ライフデザイン」
では、ここから具体的な5つのステップを見ていきましょう。最初に行うのは、数字の計算ではなく「夢の言語化」です。
どんな人生を送りたいですか?
「何歳で結婚したい?」「家は持ち家?賃貸?」「リタイア後はどんな生活がしたい?」。まずは、あなたの理想のライフプラン(人生設計)を自由に描いてみましょう。
これがないまま資産形成を始めるのは、行き先を決めずに飛行機に乗るようなものです。
お金の目的を明確にする
理想が見えてくると、「いつまでに」「何のために」「いくら必要なのか」というお金の目的がはっきりします。
目的が決まれば、取るべきリスクや貯蓄のペースも自然と決まります。「なんとなく不安」を解消する第一歩は、この目的設定にあるのです。
②足元を固める「家計管理」
理想を描いたら、次は現実を見つめます。バケツに穴が開いていては、いくら水を注いでも(収入を増やしても)水は貯まりません。
現状の収支を把握する重要性
まずは1ヶ月で構いません。家計簿アプリなどを使い、収支の現状を把握しましょう。「使途不明金」はありませんか?
特に見直すべきは「固定費」です。スマホ代、サブスク、過度な保険料など、一度見直せば効果がずっと続く節約から着手するのが鉄則です。
無理のない貯蓄体質を作る
目指すのは、我慢して節約することではなく、「生活レベルを下げずに、自然にお金が残る体質」になることです。
収入から先に貯蓄分を引いてしまう「先取り貯蓄」の仕組みを作り、残ったお金で楽しく暮らす。これが、ストレスなく資産形成を続けるコツです。
③未来を予測する「シミュレーション」
現状が把握できたら、それを未来に投影します。ここで初めて、具体的な数字を使ったシミュレーション(キャッシュフロー表の作成)を行います。
ライフイベントと費用の可視化
人生には、まとまったお金が必要なタイミングがあります。一般的な目安を見てみましょう。
| ライフイベント | 費用の目安 |
|---|---|
| 結婚費用 | 約300〜400万円 |
| 出産費用 | 約50万円(公的補助あり) |
| 住宅購入(頭金) | 物件価格の1〜2割 |
| 教育資金(大学) | 約500〜1,000万円 |
| 老後資金 | 2,000万円〜(生活水準による) |
※上記はあくまで一般的な目安であり、地域や個人の選択によって大きく変動します。
漠然とした不安を数字で消す
「足りないかもしれない」と怯えるのではなく、シミュレーションを行うことで「今のペースだと60歳で〇〇万円足りない」という事実が判明します。
「足りない」とわかることは怖いことではありません。わかれば、今から対策が打てるからです。これで「漠然とした不安」は「解決すべき課題」に変わります。
④守りを固めて「リスクに備える」
攻める(増やす)前に、守りを固めるのがFPの鉄則です。人生には予測できないリスクがあります。
公的制度と民間保険のバランス
日本は国民皆保険制度があり、公的な保障(社会保険)が非常に充実しています。例えば、医療費が高額になっても「高額療養費制度」を使えば、自己負担は一定額で済みます。
FPとしては、「まずは公的制度でどこまでカバーできるかを知り、足りない部分だけを民間保険で補う」ことを強くおすすめします。過度な保険加入は、資産形成の足かせになりかねません。
働けなくなるリスクへの対応
死亡保障や医療保障も大切ですが、現役世代にとって最も怖いのは「病気やケガで働けなくなるリスク(就業不能リスク)」です。
傷病手当金などの公的サポートを確認しつつ、長期的に収入が途絶えた場合の生活費をどう守るか、ここもしっかり計画に組み込みます。
⑤時間を味方につけ「老後に備える」
守りを固めた上で、最後に行うのが「資産運用(投資)」です。ここでのキーワードは「長期・積立・分散」です。
資産形成は「地味」でいい
SNSで見るような「短期間で倍になった!」という話は、資産形成ではなく「投機(ギャンブル)」に近いものです。
私たちが推奨する資産形成は、ハラハラドキドキするものではありません。世界中の経済成長に合わせて、コツコツと時間をかけて資産を育てていく。とても地味で、面白みはないかもしれませんが、再現性の高い方法です。
長期・積立・分散の効果
iDeCo(イデコ)やNISA(ニーサ)といった税制優遇制度をフル活用し、毎月定額を自動で積み立てていく。
時間を味方につけることで「複利効果」が働き、雪だるま式に資産が増える可能性が高まります。市場が暴落しても一喜一憂せず、淡々と続けること。これがファイナンシャルウェルビーイングへの王道です。
まとめ
ここまで、ファイナンシャルウェルビーイングを実現するための5つのステップをご紹介しました。
- ライフデザインで目的を決める
- 家計管理で足元を固める
- シミュレーションで未来を見える化する
- リスクへの備えで守りを固める
- 老後への備えで時間を味方につける
一気にすべてをやる必要はありません。まずは「自分はどうしたいんだろう?」と考えることから始めてみませんか?
もし迷ってしまったり、具体的な数字を出したくなったりしたら、いつでも私たち「マネー相談室」を頼ってください。お金は人生の目的ではありません。あなたがあなたらしく、幸せに生きるために、私たちが全力でサポートいたします。