投資信託の分類とは?初心者でもわかる「商品分類」と「属性区分」の見方

「投資信託って種類が多すぎて、何を選べばいいかわからない…」

そんな声をよく耳にします。

実は投資信託には、金融庁や投資信託協会によって定められた明確な「分類ルール」があります。

これを理解しておくだけで、数多くある投資信託について商品の特徴をつかむことができます。

この記事では、投資信託を理解する上で欠かせない「商品分類」と「属性区分」の見方を分かりやすく解説します。

目次

投資信託の分類方法とは?

投資信託を選ぶとき、「何に投資しているのか」を理解することはとても重要です。

その判断材料となるのが、投資信託協会が定める「分類方法」です。

商品内容が一目でわかるよう、目論見書などにも明記されています。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の交付目論見書の表紙より

この分類には「商品分類(左側)」と「属性区分(右側)」の2つがあり、投資初心者でも比較しやすいように設計されています。

商品分類について

商品分類は、投資信託が「どの資産に」「どのように」投資しているのかを示す基本的な情報です。

たとえば「追加型/国内/株式」という表記があれば、そのファンドが「いつでも購入できる国内株式型」であることがすぐにわかります。

一つ一つ解説していきます。

単位型・追加型

「単位型」・「追加型」の2種類あります。

追加型
運用期間中いつでも追加購入ができるタイプです。

単位型
設定時(当初募集期間)にしか購入できないタイプです。追加型とは異なり、運用中に追加で購入ができません。

多くの投資信託は「追加型」が主流であり、購入期間が限定されている「単位型」はあまり見かけることすらないかもしれません。

投資対象地域

主に3つの種類があります。

国内
主に日本の資産に投資します。

海外
主に海外の資産に投資します。

内外
国内と海外の両方に投資します。

投資対象地域は、リスクの大きさや通貨の影響にも関わるため、分散投資を考えるうえで非常に大事な視点です。

この3つの分類だと範囲が広すぎるため抽象的ですが、後半の「属性区分」で紹介する「投資対象地域」では、さらに細かな分類がされます。

投資対象資産(収益の源泉)

主な資産は以下の5つです。

株式
企業の株式に投資

債券
国債・社債などに投資

不動産投信(リート)
不動産を主な投資対象

その他資産
コモディティなどその他の資産

資産複合
複数資産に分散投資

資産の種類によって、値動きやリスクの性質が大きく異なります。

こちらも後半に登場する「属性区分」の「投資対象資産」にて、細かな分類がされます。

補足分類

上記以外で補足したい情報を伝える場合は記載されています。

インデックス型
指数に連動する運用
詳細)日経225、TOPIX、その他

特殊型
投資者に対して、注意を喚起することが必要と思われる特殊な仕組みあるいは運用手法を用いるタイプ
(※詳細は後半の「属性区分」で説明します)

運用コストの低いインデックス型の投資信託は、ここにしっかりと「インデックス型」と記載されます。

属性区分

協会が定める商品分類に関する指針には、さらなる詳細な投資信託の属性を示す「属性区分」も定められています。

「どんな資産・地域に投資しているのか」「どんな運用をしているのか」などが一目でわかるように整理されています。

全体像(区分表)

その属性区分は以下の表のように区分されます。

投資信託協会より

「投資対象資産」「投資対象地域」「対象インデックス」では、前半でお話した「商品分類」の延長であり、細分化されています。

それ以外の「決算頻度」や「投資形態」、「為替ヘッジ」、「特殊型」について説明します。

決算頻度

分配金のある投資信託では、その分配金の頻度が示されています。

参考までに、現在の年齢が若くて長期的に資産形成を検討している現役の方は「分配金なし型」にするのがセオリーです。

分配金を受け取った時点で税金がかかってしまうことに加え、そのお金は将来に向かって運用されないためです。

会社員で別に分配金を受け取る必要が無い人は、必ず分配金の出ない「再投資型」を選択しましょう。

投資形態の種類

上記の属性区分表に、投資形態として「ファミリーファンド」と「ファンドオブファンズ」が記載されています。

ファミリーファンドとは

複数の投資信託の資金をまとめて、「マザーファンド(親投資信託)」と呼ばれる投資信託に投資し、マザーファンドが株や債券などの資産に投資する運用方式のことです。

一般の投資家は「ベビーファンド」と呼ばれるファンドを購入し、ベビーファンドがマザーファンドに対して投資を行います。

投資信託協会HPより

運用会社は低コストで分配金の仕様が異なる商品を組成できます。

ファンドオブファンズとは

投資信託や投資法人に投資する投資信託のことです。

投資信託を組み合わせることで、より分散を図った運用を目指します。

投資信託協会HPより

この例だと、ファンドAとファンドBに同時に投資を行っており、両方の投資成果を受けることができます。
一方、投資の報酬を2重で払っていることがデメリットになります。

為替ヘッジ

外国の株式や債券などに対して投資を行う投資信託には為替変動リスクがあります。

為替変動リスクとは為替レートが変動することで基準価額が変動してしまう可能性のことですが、このリスクを小さくすることを為替ヘッジと言います。

一般的に為替ヘッジは先物為替予約を用いて行われます。

為替レートの影響の比較

1ドル100円→1ドル90円(円高)
 ヘッジなし…円高による損失を被る(マイナスの話)
 ヘッジあり…円高による損失を回避できる(プラスの話)

1ドル100円→1ドル110円(円安)
 ヘッジなし…円安による利益を得る(プラスの話)
 ヘッジあり…円安による利益を逃してしまう(マイナスの話)

一般的には「為替ヘッジ」は無しにするのが多いです。

理由としては為替をヘッジするための費用は決して小さくはなく、具体的には日本と米国の金利差分(2~3%)コストがかかっているためです。

よほどのことがない限り、ヘッジ無しを選択されるのがお勧めです。

特殊型

一般的な投資信託は、集めた資金を株式や債券、不動産投資信託などに投資し、価格が上昇した際に売却して利益を確保する手法が基本です。

一方、特殊型ファンドは、より複雑で一般的ではない運用手法が用いられるのが特徴です。

具体的には、次のタイプの投資信託のことを指します。

  • ブル・ベア型
    通常の2倍、3倍の投資成果が期待できる
  • 条件付き運用型
    仕組債への投資やその他特殊な仕組みを用いることにより、目標とする投資成果や償還等の条件が決定される
  • ロング・ショート型
    買い(ロング)と売り(ショート)を組み合わせて収益の追求を目指す
  • 絶対収益追求型
    市場動向に関わらず投資元本を増やすことを目標とし、コンピュータ・プログラムを活用して実現していく

まとめ

投資信託の分類は、投資の“地図”のようなものです。

これを読むことができるようになれば世間の風評に流されることなく、自分が購入した投資信託を自信をもって買い続けることができると考えます。

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この記事を書いた人

本サイトを運営している現役FP

■経歴■
保険代理店で10年以上活動し2,000世帯以上とFP相談を行うも手数料ビジネスに嫌気がさし、FIREの実現を機に独立。

商品を販売しない自由なFPとして、自分が本当に伝えたいことを「わがまま」に遠慮なく有益な情報をお届け!

■保有資格■
-FP1級技能士
-CFP®
-証券外務員一種
-宅地建物取引士
-中小企業診断士
-貸金業務取扱主任者

詳しいプロフィールはこちらのリンクをご覧ください。

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