相続税の計算方法とは?基礎控除から具体的な計算の流れまで解説

相続が発生した際、多くの人が不安に感じるのが「相続税がいくらになるのか」という点です。相続税の計算は一見すると複雑ですが、手順を追って整理していくことで、自分たちで概算を把握することが可能です。

この記事では、相続税の計算方法を3つのステップに分けて解説するとともに、具体的なケースを用いたシミュレーションも紹介します。2026年現在の税制に基づいた最新の注意点も確認していきましょう。

目次

相続税計算の全体像

相続税の計算は、各人の取得財産をもとに相続税の総額を計算し、その税額を取得割合で分けたうえで、控除や加算を反映して最終的な納付税額を求めます。

具体的なステップは以下の通りです。

  • 課税価格の計算
    各人が取得した財産を基に課税価格を算出します。

  • 課税遺産総額の計算
    課税価格の合計額から相続税の基礎控除を差し引き、課税遺産総額を計算します。

  • 相続税の総額の計算
    課税遺産総額を法定相続分どおりに相続したものと仮定して各人の相続税額を算出し、それを合計して相続税総額を計算します。

  • 各人の算出税額の計算
    相続税の総額を各人の課税価格の割合で按分して算出します。

  • 各人の納付税額の計算
    算出税額から税額控除および2割加算などを反映させ、最終的な納付すべき税額を計算します。

ステップ1. 課税価格の計算

まずは、各人が取得した財産を基に「課税価格」を算出します。相続や遺贈によって受け取った財産から、負債などの引ける金額を差し引いたものがベースとなります。

プラスの財産
預貯金、不動産、株式などの本来の財産に加え、死亡保険金や死亡退職金などの「みなし相続財産」も含まれます。

マイナスの財産
借入金や未払いの所得税・固定資産税などの債務のほか、お寺への御布施や火葬費用などの葬式費用を差し引くことが可能です。

ステップ2. 課税遺産総額の計算

次に、全相続人の課税価格を合計した額から、法律で定められた「基礎控除額」を差し引き、課税遺産総額を計算します。

基礎控除額の計算式

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

養子がいる場合は算入できる人数に制限があるため注意が必要です。

非課税の判定

この課税遺産総額が0円以下(基礎控除額の範囲内)になる場合は、相続税はかからず、原則として申告の必要もありません。

ステップ3. 相続税の総額の計算

実際の分け方に関わらず、一旦「法定相続分どおりに分けた」と仮定して、家族全体の税金の総額を算出します。

ステップA:法定相続分による分割
課税遺産総額を、配偶者や子供などの法定相続人が法律で定められた割合(法定相続分)で取得したと仮定して計算を始めます。

法定相続分とは?

法定相続分とは、法定相続人が相続する割合のことです。相続分は、民法で以下のように規定されています。

スクロールできます
順位 相続人 法定相続分
配偶者のみ全額
1配偶者と子配偶者:1/2     子:1/2
2配偶者と父母配偶者:2/3    父母:1/3
3配偶者と兄弟姉妹配偶者:3/4  兄弟姉妹:1/4

ステップB:各人の仮の税額算出
法定相続分で分けたそれぞれの金額に、金額に応じた相続税の税率(10%〜55%)を乗じて、各人の仮の税額を出します。

相続税の税率表はこちら
スクロールできます
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超から3,000万円以下15%50万円
3,000万円超から5,000万円以下20%200万円
5,000万円超から1億円以下30%700万円
1億円超から2億円以下40%1,700万円
2億円超から3億円以下45%2,700万円
3億円超から6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

ステップC:総額の確定
算出された全員分の仮の税額をすべて合算します。ここで出た合計が、その家族が支払う「相続税の総額」のベースになります。

ステップ4. 各人の算出税額の計算

ステップ3で出した「相続税の総額」を、実際の財産取得割合(課税価格の割合)で按分して、各人の税額を算出します。

按分の考え方
家族で算出した税金の合計額を、実際に受け取った財産の価値に応じて割り振ります。たくさん財産をもらった人は、その分だけ多くの税負担を担うという公平な仕組みです。

実際の計算
相続税の総額 × 各人が実際に取得した課税価格 ÷ 課税価格の合計額、という計算式で一人ひとりの税額を割り出します。

ステップ5. 各人の納付税額の計算

最後に、各人の算出税額から個別の事情に合わせた調整を行い、最終的な納付額を決定します。

税額控除の適用
配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)や未成年者控除、障害者控除などを適用して税額を差し引きます。

2割加算のルール
財産を受け取った人が、亡くなった方の配偶者や一親等の血族(子供や父母)以外(兄弟姉妹や孫など)である場合、税額が20%加算されます。

具体的な計算例:遺産1億円で子供2人が相続する場合

実際の数字を当てはめて計算の流れを確認してみましょう。
ここでは、亡くなった方に配偶者がおらず、子供2人(長男・次男)が等分に相続するケースを想定します。

1. 課税価格の計算

まずは相続財産の総額を確定させます。

遺産の合計額
現預金や不動産、有価証券などをすべて合計して1億円とします。

差し引き後の課税価格
ここから葬式費用や未払金などの債務を差し引きますが、今回は分かりやすく債務なし(合計1億円)として進めます。

2. 課税遺産総額の計算

次に、課税価格から基礎控除額を差し引きます。

基礎控除額の計算
今回の法定相続人は子供2人なので、計算式は
3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
となります。

課税遺産総額
1億円から基礎控除額の4,200万円を差し引いた、5,800万円が課税対象となる金額です。

3. 相続税の総額の計算

課税遺産総額を法定相続分で分けたと仮定して、家族全体の税額を算出します。

仮の分割
5,800万円を子供2人で半分ずつ分けると、1人あたり2,900万円になります。

各人の仮の税額
2,900万円に対する税率は15%、控除額は50万円です。
2,900万円 × 15% ― 50万円 = 385万円
が1人あたりの税額です。

相続税の総額
385万円を2人分合計した、770万円がこの家族が支払う相続税の総額となります。

4. 各人の算出税額の計算

相続税の総額を、実際の相続割合で分けます。

実際の取得割合による按分
今回は長男と次男が50%ずつ(5,000万円ずつ)相続するため、相続税の総額も半分ずつ負担します。

各人の算出税額
相続税の総額770万円の50%にあたる、385万円がそれぞれの算出税額となります。

5. 各人の納付税額の計算

最後に個別の事情を反映させます。

税額控除の適用
子供が相続する場合、未成年者控除などの特別な事情がなければ、算出された税額がそのまま納付額となります。

最終的な納付額
長男・次男ともに、それぞれ385万円ずつを税務署へ納めることになります。

賢く準備するためのポイント

相続税は、特例を適用できるかどうかで最終的な納税額が大きく変わります。

特例の適用検討
自宅の土地評価を最大80%下げられる「小規模宅地等の特例」が使えるか、事前に要件を確認しておくことが重要です。

生前からの対策
生命保険の非課税枠の活用や、計画的な贈与などを検討することで、将来の課税遺産総額を抑えられる可能性があります。

特に不動産をお持ちの場合などは、早めにシミュレーションを行っておくことが節税への第一歩です。

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この記事を書いた人

本サイトを運営している現役FP

■経歴■
保険代理店で10年以上活動し2,000世帯以上とFP相談を行うも手数料ビジネスに嫌気がさし、FIREの実現を機に独立。

商品を販売しない自由なFPとして、自分が本当に伝えたいことを「わがまま」に遠慮なく有益な情報をお届け!

■保有資格■
-FP1級技能士
-CFP®
-証券外務員一種
-宅地建物取引士
-中小企業診断士
-貸金業務取扱主任者

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