「固定費を抑えたいから、火災保険は共済で十分かな?」
「でも、いざという時に本当に家を建て直せるのか不安…」
大切なわが家を守るための備えとして、手頃な掛金の「共済」は非常に魅力的です。しかし、実は民間保険との間には、いざという時の「共済金の受け取り方」や「カバーできる範囲」に決定的な違いがあります。
特に最近は、建築資材や人件費の高騰により、数年前に契約した内容のままでは「万が一の時に保障が足りない」というリスクも浮き彫りになっています。
この記事では、共済と民間保険のどちらを選ぶべきか迷っている方に向けて、以下のポイントを中心に分かりやすく解説します。
火災保険と共済、どちらが正解?あなたに最適な住まいの備え方
家を建てた時や更新のタイミングで、多くの人が直面するのが「民間の火災保険」と「コープ共済などの火災共済」のどちらを選ぶべきかという悩みです。どちらも「住まいを守る」という目的は同じですが、その仕組みや保障内容には決定的な違いがあります。
火災保険と共済の根本的な違い
火災保険(損害保険会社)の仕組み
営利企業である保険会社が運営し、個々のリスクに応じたオーダーメイドの補償を契約する仕組みです。
(具体例)民間の損害保険会社
・東京海上日動火災保険
国内最大手の損害保険会社で、全国に広がる代理店網による対面サポートと、迅速な事故対応体制に定評があります。
・損害保険ジャパン
「THE すまいの保険」を展開しており、独自のサービスや幅広い特約により、個々のライフスタイルに合わせたカスタマイズが可能です。
・ソニー損害保険
インターネットで直接契約する「ダイレクト型」の代表格で、中間コストを抑えたリーズナブルな保険料が支持されています。
・SBI損害保険
ネット専用の利便性を活かし、必要な補償を絞り込むことで業界最安水準の保険料を実現しているのが特徴です。
共済(コープ共済など)の仕組み
組合員同士の「助け合い」を目的とした非営利組織で、手頃な掛金で一律の保障を提供する仕組みです。
(具体例)代表的な共済組織
・コープ共済(住まいる共済)
組合員向けの助け合いの仕組みで、手頃な一律の掛金と、決算状況に応じた「割戻金」が受け取れる点が大きな魅力です。
・こくみん共済 coop(全労済)
働く人々を支える非営利組織として、住宅の損害だけでなく、自然災害への備えもセットで選びやすいプランが充実しています。
・都道府県民共済(都民共済など)
各都道府県で運営されており、非常にシンプルな保障内容と、居住地域に根ざした安心感から多くの利用者に選ばれています。
・JA共済(建物更生共済)
農協が提供する共済で、火災だけでなく地震や台風などの自然災害、さらには満期金がある「積立型」のプランも選べるのが特徴です。
どちらが最適?3つの比較ポイント
共済と民間保険、どちらが自分に合っているかを見極めるには、以下の3つの決定的な違いに注目する必要があります。ご自身の優先順位と照らし合わせながら、それぞれの特徴を確認してみましょう。
1. 掛金の安さと「割戻金」の魅力
2. 災害時(風水害・地震)の補償範囲と上限額
3. 補償のカスタマイズ性
1. 掛金の安さと「割戻金」の魅力
コストパフォーマンスの高さ
共済は営利を目的としないため掛金が安く設定されており、決算で剰余金が出れば「割戻金」として戻ってくるのが大きな特徴です。
▼代表的な共済の割戻金実績(2024年度決算ベース)
| 共済名 (主なプラン) | 割戻率 (掛金に対して) | 具体的な還付例 (掛金が年3万円の場合) |
| 都道府県民共済(新型火災共済) | 20.00% | 6,000円が戻る |
|---|---|---|
| コープ共済(住まいる共済) | 15.4% | 4,620円が戻る |
| こくみん共済 coop(住まいの共済) | 約15%〜20%前後 | 約4,500円〜6,000円が戻る |
民間保険のリスク細分型
民間でも「水災補償を外す」などのカスタマイズにより、条件によっては共済と同等の安さを実現できる場合があります。
2. 災害時(風水害・地震)の補償範囲と上限額
100%実損補償の民間保険
建物評価額の満額まで補償されるため、万が一の全焼時に「同じ家を建て直す」ための資金を確実に確保できます。
共済の見舞金的側面
共済は火災には強い一方、風水害や地震に対する保障には上限額が設けられていることが多く、大規模災害時の再建費用としては不足する可能性があります。
3. 補償のカスタマイズ性
ライフスタイルに合わせた特約
民間保険は「自転車事故の賠償」や「家の中での破損・汚損」など、生活の困りごとに合わせた豊富な特約を付帯できます。
迷わないシンプルなプラン
共済はプランがパッケージ化されており、複雑な知識がなくても自分に合ったコースを選びやすいというメリットがあります。
「共済で十分な人」と「民間保険が必要な人」のチェックリスト
住まいの環境や資産状況は人それぞれです。どちらが良いか迷ったときは、以下のチェックリストを参考に「自分はどちらのタイプに当てはまるか」を判定してみてください。
共済が向いている人の特徴
賃貸物件に住んでいる
建物自体の火災被害は大家さんの責任となるため、自分の家財と借家人賠償さえカバーできれば十分なケースが多いです。
住宅ローンを完済している
万が一の際に全額の補償がなくても、手元の貯蓄や退職金などで生活の立て直しができる余裕がある層に適しています。
民間の火災保険が向いている人の特徴
ハザードマップでリスクがある地域
浸水や土砂崩れのリスクがある場所では、損害を100%カバーできる実損払いの民間保険でないと安心できません。
住宅ローンが残っている新築住宅
ローン返済中に家を失うリスクを最小限にするため、今の物価で家を建て直せる「再調達価額」でのフル補償が必要です。
見直し時に必ず確認したい「評価額のズレ」
火災保険や共済は、一度加入するとそのまま放置してしまいがちです。しかし、実は「加入した当時の保障額」と「現在必要な保障額」の間に大きなギャップが生じているケースが非常に増えています。
このズレを放置したまま災害に遭うと、保険金を受け取っても家を建て直せなかったり、家財を買い直せなかったりといった最悪の事態になりかねません。なぜ今、見直しが必要なのか、その具体的な理由を詳しく見ていきましょう。
建築コスト上昇による「保障不足」のリスク
インフレの影響
数年前に契約した2,000万円の保障が、現在同じ家を建てるには3,000万円必要になっているというケースが多発しています。
再調達価額(新価)での再評価
今の物価で計算された「住宅の評価額」と現在の契約額に大きな開きがある場合、万が一の際に多額の自己負担が発生します。
家財保障の見直し
家財評価の統計データ
家財の評価額は家族構成や年齢で算出されますが、実際には「そこまで必要ない」と感じる場合は口数を調整してコストを抑えることが可能です。
買い直し費用の総額
家電、家具、衣服、日用品など、家にあるすべてのものを新品で揃え直す「総額」をイメージして、自分に最適な保障額を決めましょう。
まとめ:自分の「安心の基準」で選ぼう
コストを最優先し、最低限の備えを確保するなら「共済」は非常に優れた選択肢です。一方で、インフレや自然災害のリスクを考慮し、生活を100%元通りにする安心を求めるなら「民間の火災保険」に軍配が上がります。
まずは現在加入している契約の「保障額」が、今の建築物価と合っているかをチェックすることから始めてみてください。