【2026年最新】iDeCoと退職金の「10年ルール」改正・完全攻略ガイド|手取りを最大化する出口戦略のすべて

2026年、日本の定年退職者や資産形成層にとって、無視できない大きな「税制の壁」が立ちはだかりました。それが、iDeCo(個人型確定拠出年金)と企業の退職金を一時金として受け取る際の「10年ルール」への期間延長です。

これまで「5年空ければ大丈夫」と言われていた常識は、もう通用しません。この改正を知っているかいないかだけで、老後の貴重な手取り額が100万円、あるいはそれ以上変わる可能性があります。

本記事では、2026年に完全施行されたこの新ルールを徹底的に深掘りし、あなたが損をしないための最適な出口戦略を解説します。

目次

2026年「10年ルール」改正の衝撃:何が変わったのか?

まずは、今回の改正の核心部分を整理しましょう。

かつて、iDeCoと退職金を一時金(一括)で受け取る際、税制上の優遇措置である「退職所得控除」を二重に、かつ効率的に活用するための間隔は「5年」でした。

しかし、2026年1月1日以降、このルールが劇的に厳格化されました。

改正の具体的な内容

項目2025年までの旧ルール2026年からの新ルール
重複判定期間前年以前4年以内(5年空ける)前年以前9年以内(10年空ける)
税負担の影響5年空ければ控除をリセットできた10年空けないと控除が削られる
主な対象者iDeCoと退職金を両方持つ人左記に加え、受取時期が近いすべての人

なぜ期間が「10年」に延びたのか?

この背景には、国の「長く働いてもらう」という方針と、税金の公平性を保つ狙いがあります。

現在は65歳定年や、その後の再雇用が当たり前になりました。その結果、60歳でiDeCoを受け取り、65歳以降に退職金を受け取るという「5年差」のケースが激増したのです。

国としては、「短期間に何度も大きな控除を使わせるのは、税負担の公平性を欠く」と判断しました。いわば、「税制優遇の使い回しに対するチェックが厳しくなった」と考えてください。

退職金の最強の味方「退職所得控除」を正しく理解する

10年ルールの恐ろしさを理解するためには、まず「退職所得控除」がどれほど強力な節税ツールなのかを再確認する必要があります。

退職金は、長年の功労報償的な性格を持つため、他の所得(給与など)に比べて圧倒的に税金が安くなるように設計されています。

その計算式は以下の通りです。

退職所得控除額の計算

勤続年数(iDeCoの場合は加入期間)に応じて、以下の金額を所得から差し引けます。

勤続20年以下
40万円 × 勤続年数(最低80万円)

勤続20年超
800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20 年)

なお、勤続年数における端数は切り上げをしてくれるため、例えば13年6ヶ月の勤続年数の人は『14年』としてみてくれます。

例:勤続29年5ヶ月年の場合
800万円 + (70万円 × 10年) = 1,500万円
つまり、1,500万円までの退職金には1円も税金がかかりません。

さらに、控除額を超えた分についても、「2分の1」をかけた金額に対してのみ課税されるという破格の優遇があります。

課税退職所得 = 退職金受取額 – 退職所得控除額

2026年の改正は、この「差し引ける控除額(1,500万円など)」が、重複期間のせいで無理やり減らされてしまうという点に最大の問題があります。

「受取順序」に潜む恐ろしい罠:10年 vs 19年

ここが最も重要なポイントです。

実は、iDeCoと退職金のどちらを先に受け取るかによって、ルール自体の厳しさが全く異なります。

A. 「iDeCo」を先に受け取る場合(10年ルール)

iDeCoを先に一時金で受け取り、その後に企業の退職金を受け取るパターンです。

この場合、今回の改正により「10年間」空ける必要が生じました。

60歳でiDeCo受取 → 70歳で退職金受取

10年空いているため、iDeCoと退職金の双方でフルに退職所得控除が使えます。

60歳でiDeCo受取 → 65歳で退職金受取

5年しか空いていないため、退職金の控除からiDeCo加入期間分の控除が差し引かれます。

B. 「退職金」を先に受け取る場合(19年ルール)

企業の退職金を先に受け取り、後からiDeCoを一時金で受け取るパターンです。

実は、こちらは2026年改正の前から「前年以前19年以内」という非常に厳しい制限があります。

事実
退職金を先に受け取ると、その後20年間空けない限り、iDeCo受取時の退職所得控除は大幅に制限されます。

注意点
60歳で退職金を受け取った場合、iDeCoの控除をフル活用するには80歳まで待つ必要があります。しかし、iDeCoの受給開始期限は現在「75歳」までです。つまり、「退職金が先」の場合、iDeCoを一時金で満額控除で受け取ることは事実上不可能に近いのです。

注意点
60歳で退職金を受け取った場合、iDeCoの控除をフル活用するには80歳まで待つ必要があります。しかし、iDeCoの受給開始期限は現在「75歳」までです。つまり、「退職金が先」の場合、iDeCoを一時金で満額控除で受け取ることは事実上不可能に近いのです。

4. 【実例シミュレーション】受け取り方で税金はここまで変わる

具体的な数字で比較してみましょう。

【ケース設定】

  • Aさん:勤続30年(退職金2,000万円)、iDeCo加入30年(残高1,000万円)
  • 合計3,000万円の資産がある。

パターン①:同じ年に両方受け取る(2026年以降)

同じ年に受け取ると、合算された金額(3,000万円)に対して30年分の控除(1,500万円)が適用されます。

  • 課税所得:$(3,000\text{万} – 1,500\text{万}) \times \frac{1}{2} = 750\text{万円}$
  • 所得税・住民税(概算):約160万円

パターン②:60歳でiDeCo、65歳で退職金(改正後の失敗例)

10年空いていないため、65歳の退職金受取時に、60歳までのiDeCoと重複していた期間の控除が使えません。

  • iDeCo受取時:控除内につき税金 0円
  • 退職金受取時:重複期間が引かれ、控除が激減。
  • 合計税額(概算):約120万円

パターン③:60歳でiDeCo、70歳で退職金(新ルールをクリア)

10年以上の間隔を空けた場合、それぞれの控除をフルに活用できます。

  • iDeCo受取時(60歳):控除1,500万円に対し1,000万円受取 → 税金 0円
  • 退職金受取時(70歳):控除1,500万円に対し2,000万円受取 → 課税所得250万円
  • 合計税額(概算):約25万円

【結論】

ルールを知ってタイミングをずらすだけで、手取り額が約135万円も増える計算になります。

5. どちらが得?「一時金」vs「年金形式」

10年ルールの制限を回避するもう一つの有力な選択肢が、**「年金形式(分割)」**での受取です。

年金形式のメリット

10年ルールの対象外
退職所得ではなく「公的年金等控除」の対象となるため、一時金受取の間隔を気にする必要がありません。

公的年金等控除の活用
65歳未満なら年間60万円、65歳以上なら年間110万円までの受取(他の年金との合算)が非課税枠内に入ります。

年金形式のデメリット(要注意!)

社会保険料の増加
年金形式で受け取ると「所得」とみなされるため、国民健康保険料や介護保険料が跳ね上がるリスクがあります。

税率の逆転
他の公的年金が多い人は、控除枠を使い切ってしまい、逆に高い所得税がかかる場合があります。

おすすめの「ハイブリッド戦略」

多くの専門家が推奨するのは、「退職所得控除の枠までは一時金で受け取り、溢れた分を年金形式にする」という併用パターンです。これにより、退職所得の「1/2課税」の恩恵と、年金控除の枠を両方使い切ることができます。

6. 2026年からの出口戦略:5つの具体的ステップ

この改正を踏まえ、私たちは今日から何をすべきでしょうか。

ステップ1:退職金規程の「コピー」を手に入れる

まずは敵を知ることからです。会社の就業規則や退職金規定を確認し、「いつ」「いくら」もらえるのか、また「一時金か年金か」を選べるのかを確認してください。

ステップ2:iDeCoの「加入期間」をチェックする

iDeCoの控除額は「加入期間」で決まります。一度でも掛け金を拠出していれば1年とカウントされます。早期に加入し、少額でも継続しておくことが将来の控除枠拡大に繋がります。

ステップ3:受取順序を「iDeCo先」に固定する

前述の通り、「退職金先」は20年縛りがあるため非常に不利です。

「60歳でiDeCoを一時金受取 → 70歳以降で退職金受取」という流れが、現時点での税制上の王道ルートです。

ステップ4:社会保険料を含めたシミュレーション

税金だけでなく「手取り」で考える必要があります。年金形式にする場合は、お住まいの自治体の健康保険料シミュレーターを使い、所得が増えた際の保険料アップ額を確認しましょう。

ステップ5:2025年中の駆け込み受取の検討(※該当者のみ)

もしあなたが現在60歳を超えており、2025年中に受取が可能な状態であれば、旧ルール(5年)が適用される2025年中に受取を完了させる方が有利なケースがあります。

7. よくある質問(Q&A)

小規模企業共済や企業型DCはどうなりますか?

これらも基本的に「退職所得」として合算・判定の対象になります。企業型DCからiDeCoに資産を移した場合は、合算した期間が控除の対象になります。

小規模企業共済や企業型DCはどうなりますか?

これらも基本的に「退職所得」として合算・判定の対象になります。企業型DCからiDeCoに資産を移した場合は、合算した期間が控除の対象になります。

10年空けられない場合は、どうすればいいですか?

無理に一時金にこだわらず、iDeCo側を年金受取に変更することを検討してください。これにより、退職金の控除枠を削らずに済みます。

改正後に「再雇用」で働く場合、影響はありますか?

再雇用終了時に退職金が出る場合、その受取時期がiDeCoの受取と10年以内であれば影響を受けます。自分の最終的な「引退時期」を見据えた計画が必要です。

8. まとめ:老後の手取りは「知識」で守る

2026年の「10年ルール」改正は、一見するとただの期間変更に思えます。しかし、その実態は**「計画的な出口戦略を持っていない人から、静かに税金を徴収する」**仕組みです。

これまで主流だった「60歳iDeCo、65歳退職金」というプランは、今や「税金の落とし穴」になってしまいました。

本記事のポイント

  • 2026年から受取間隔は10年必要
  • **「iDeCoが先、退職金が後」**が鉄則。逆は20年縛り。
  • 一時金と年金のハイブリッド受取が最強の解決策になる可能性。
  • 税金だけでなく、社会保険料の増額にも注意。

老後の資産を守れるのは、制度を正しく理解し、数年前から準備を始めた人だけです。まずはご自身の退職金見込額を確認することから始めてみてください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

本サイトを運営している現役FP

■経歴■
保険代理店で10年以上活動し2,000世帯以上とFP相談を行うも手数料ビジネスに嫌気がさし、FIREの実現を機に独立。

商品を販売しない自由なFPとして、自分が本当に伝えたいことを「わがまま」に遠慮なく有益な情報をお届け!

■保有資格■
-FP1級技能士
-CFP®
-証券外務員一種
-宅地建物取引士
-中小企業診断士
-貸金業務取扱主任者

詳しいプロフィールはこちらのリンクをご覧ください。

目次