法人税は利益の何%?会社が払う「5つの税金」と実際の支払額を徹底シミュレーション

「会社を作ったら、税金はどれくらいかかるの?」

これから法人化を考える方や、決算を控えた経営者にとって、もっとも気になるテーマではないでしょうか。

一般的に「会社の税金は約30%」と言われますが、実は「法人税」という名前の税金がひとつだけあるわけではありません。国に払うもの、地方に払うものなど、大きく分けて5種類の税金がかかります。

今回は、会社にかかる税金の仕組みを整理し、「利益が1,000万円出たら、実際にいくら払うことになるのか?」を詳しくシミュレーションします。

1. 「法人税」は1つじゃない?会社が払う5つの税金

実務上、会社が支払う税金は以下の5つの総称です。

これらはそれぞれ、「国税か地方税か」「何に対して課税されるか」が異なります。

中小企業(資本金1億円以下)にかかる標準的な税率は以下の通りです。

【中小企業の税率一覧表(標準税率)】

スクロールできます
税金の種類年400万円以下の
利益部分
年800万円以下の
利益部分
年800万円超の
利益部分
備考
① 法人税15.0%23.2%国税。基本となる税金。
② 地方法人税
 (法人税の10.3%)
1.55%2.39%国税。「税額×10.3%」で計算します。
③ 法人住民税
 (法人税の7.0%)
1.05%1.62%地方税。別途、均等割(固定額)がかかります。
④ 法人事業税
3.5%5.3%7.0%地方税。支払うと経費(損金)になります。
⑤ 特別法人事業税
 (事業税の37.0%)
1.30%1.96%2.59%国税。「事業税額×37%」で計算します。
合計22.4%24.86%36.80%

このように、利益に直接かかるものもあれば、計算した「税額」に対してさらにかかるものもあり、仕組みは少々複雑です。

2. 【シミュレーション】利益1,000万円なら、実際にいくら払う?

では、実際にどれくらいの税金がかかるのか計算してみましょう。

「中小企業で、年間1,000万円の利益が出た場合」のシミュレーションです。

(※資本金1億円以下、標準税率の地域、均等割7万円と仮定)

【計算結果】
税金の合計額:2,695,700円
利益に対する負担率:約27.0%

以下が詳しい計算プロセスです。先ほどの表の番号順(①〜④)に計算していきます。

① 法人税(国税)

利益の額に応じて、2段階の税率で計算します。

● 800万円以下の部分(税率 15%):
8,000,000円 × 15.0% = 1,200,000円

● 800万円を超える部分(税率 23.2%):
2,000,000円 × 23.2% = 464,000円

①の税額合計:1,200,000円 + 464,000円 = 1,664,000円

② 地方法人税(国税)

①で計算した「法人税額」を元に計算します。

● 計算式(税率 10.3%):
1,664,000円(法人税額) × 10.3% = 171,392円

②の税額(100円未満切り捨て):171,300円

③ 法人住民税(地方税)

①で計算した「法人税額」を元にする法人税割と、赤字でもかかる「均等割」を足します。

● 法人税割(税率 7.0%):
1,664,000円(法人税額) × 7.0% = 116,480円

● 均等割(一番小さい規模と仮定):70,000円

③の税額合計(100円未満切り捨て):116,400円 + 70,000円 = 186,400円

④ 法人事業税(地方税)

利益の額に応じて3段階に分かれます。

● 400万円以下の部分(3.5%):4,000,000円 × 3.5% = 140,000円
● 400〜800万円の部分(5.3%):4,000,000円 × 5.3% = 212,000円
● 800万円超の部分(7.0%):2,000,000円 × 7.0% = 140,000円

④の税額合計:140,000円 + 212,000円 + 140,000円 492,000円

⑤ 特別法人事業税(国税)

④で計算した「法人事業税」に37%をかけて「特別法人事業税」を計算します。

● 特別法人事業税(事業税額 × 37.0%):
492,000円 × 37.0% = 182,040円

⑤の税額合計(100円未満切り捨て):182,000円

★最終支払額(①+②+③+④+⑤):
1,664,000円 + 171,300円 + 186,400円 + 492,000円 + 182,000円 = 2,695,700円

利益1,000万円のうち、税金として出ていくのは約270万円。

残りの約730万円が、会社の手元に残るお金(税引後当期純利益)となります。

3. 【検証】会計上の「実質負担」はさらに安くなる?

ここで一つ、踏み込んだ検証をしてみましょう。

先ほどの計算で、「支払額は利益の約27.0%」という結果が出ました。

しかし、会計の世界には「実効税率」という考え方があります。

これは、「事業税を払うと、その分が経費(損金)になり、来年の税金が安くなる効果」まで考慮した計算方法です。

今回のシミュレーション結果(利益1,000万円のケース)を、この実効税率の公式に当てはめて計算し直すと、どうなるでしょうか?

実効税率の計算式

実効税率 = 表面税率合計(約27.0%)/1 + 事業税率(約4.9%)

この計算を行うと、答えは約25.7%となります。

  • 窓口で支払う割合: 約27.0%
  • 節税効果を考慮した実質の負担率: 約25.7%

よく「日本の法人税は30%超」と言われますが、中小企業がうまく軽減税率(800万円の壁)を活用できれば、実質的なコストは20%台半ばまで抑えられることが分かります。

4. まとめ:正しい税額を知って、資金繰りを守ろう

法人の税金計算は複雑に見えますが、中小企業の実態としては以下の目安を持っておけば大きな間違いはありません。

  • 地方の会社:利益の約27%前後
  • 都市部(東京23区等)の会社:利益の約29%前後

※都市部は超過税率がかかるため、少し高くなります

「税金で半分持っていかれる」というのは少し大げさな表現です。実際には「年800万円以下の軽減税率」や「事業税の経費化」といった仕組みにより、負担はもう少し抑えられています。

ぜひこの数字を参考に、新しい投資や役員報酬の計画を立ててみてください。

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この記事を書いた人

本サイトを運営している現役FP

■経歴■
保険代理店で10年以上活動し2,000世帯以上とFP相談を行うも手数料ビジネスに嫌気がさし、FIREの実現を機に独立。

商品を販売しない自由なFPとして、自分が本当に伝えたいことを「わがまま」に遠慮なく有益な情報をお届け!

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-宅地建物取引士
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