変額保険は本当に必要?30代が知っておくべきメリット・デメリットをFPが徹底解説

お客様:「最近、保険の担当者から“変額保険”を勧められたんですけど…投資なのか保険なのか、よく分からなくて不安です。」

FP:「確かに分かりにくいですよね。変額保険は“投資信託+生命保険”を組み合わせた商品なんです。仕組みを理解すると、向いている人・向いていない人がはっきりしますよ。」

変額保険は「投資」と「生命保険」を組み合わせたユニークな商品です。

うまく活用すれば資産形成や保障の両立が期待できますが、仕組みを理解しないまま契約すると「思っていたのと違った」と後悔することも少なくありません。

本記事では、現役FPの立場から 変額保険のメリットとデメリットをわかりやすく解説 します。

読了後には、「自分に本当に必要かどうか」を判断できるようになるはずです。

目次

そもそも「変額保険」とは?

お客様:「変額保険って名前は聞いたことあるんですけど…普通の保険と何が違うんですか?」

FP:「ざっくり言うと、“投資信託”と“生命保険”を合体させた商品です。死亡したときの保障は確保しつつ、その積立部分を投資に回す仕組みなんですよ。」

変額保険の仕組みをわかりやすく解説

変額保険は、支払った保険料の一部が保険会社の用意する「特別勘定(ファンド)」に投資されます。

株式や債券などの運用成果によって、将来受け取る解約返戻金や満期保険金の金額が変動するのが特徴です。

一般的な終身保険や定期保険では「契約時に保険金額が決まり、変わらない」仕組みですが、変額保険はあくまで投資要素が組み込まれているため、元本保証はありません。

その代わり、運用がうまくいけば受け取る金額が増える可能性があります。

つまり、変額保険は「死亡保障+資産形成」を同時に行うことを目的とした商品です。

ただし、投資リスクを理解しないまま加入すると「思っていたより返戻金が少ない」と感じるケースもあるため、仕組みを理解することが重要です。

終身保険や定期保険との違い

変額保険を理解するうえで欠かせないのが、一般的な終身保険や定期保険との違いです。

終身保険は「一生涯の保障が続く」ことが特徴で、解約返戻金や死亡保険金の額が契約時に固定されています。

つまり、将来の見通しが立てやすく、元本割れの心配が少ないのがメリットです。

一方、定期保険は「保障期間を区切って備える」商品です。

掛け捨て型が多いため、保険料は安く済みますが、貯蓄性はほとんどありません。

純粋に死亡保障だけを得たい人に向いています。

これに対し変額保険は「死亡保障+資産運用」が一体化しており、受け取る金額が運用次第で上下する点が最大の違いです。

保障の安定性を求めるなら終身や定期、将来の資産形成も狙いたいなら変額保険と、目的によって選び分けることが大切です。

変額保険のメリットをFPが解説

お客様:「変額保険ってリスクがあるって聞くと、正直ちょっと怖いですね…。本当にメリットはあるんですか?」

FP:「もちろんリスクはありますが、使い方によっては大きなメリットもあります。特に“保障”と“運用”を同時に考えたい人にとっては魅力的なんですよ。」

運用成果によって将来の受取額が増える可能性

変額保険の最大のメリットは、資産運用の成果によって将来受け取る解約返戻金や満期保険金が増える可能性がある点です。

通常の終身保険では返戻率がほぼ固定で、低金利環境では大きなリターンは期待できません。

しかし変額保険では、株式や債券などを組み合わせたファンドに投資するため、長期的にみて市場の成長を取り込むことができます。

例えば、10年〜20年という長期の運用を行った場合、経済が成長して株価が上がれば、解約返戻金も増加します。

もちろん元本保証はありませんが、銀行預金や定額保険では得られないリターンを狙えるのが魅力です。

将来の教育資金や老後資金づくりの一つの選択肢として考える人も少なくありません。

生命保険としての死亡保障も確保できる

変額保険は投資機能に注目されがちですが、あくまで「生命保険」であることを忘れてはいけません。

契約者が万一亡くなった場合には、死亡保険金が必ず支払われる仕組みになっています。

多くの商品では「基本保険金額」が最低保証されており、たとえ運用がうまくいかず積立金が減ってしまっても、一定額の死亡保障は確保されるのが安心材料です。

この点が、純粋な投資信託や株式投資との大きな違いです。

通常の投資商品には「万一の保障」がありませんが、変額保険ならば「資産形成」と「家族への備え」を一度にカバーできます。

とくに小さなお子さまがいる30代世帯にとっては、将来のために資産を育てつつ、万一の場合も家族を守れるという二重の安心につながるでしょう。

節税効果や相続対策に使える場合もある

変額保険は、運用と保障の両立だけでなく、節税や相続対策として利用できる場合があります。

例えば、生命保険料控除を活用すれば、年間の所得税や住民税の負担を軽減できることがあります。

控除額はそれほど大きくありませんが、毎年の節税効果が積み重なると無視できないメリットになります。

また、相続対策としても注目されます。

生命保険の死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があり、これを利用すれば相続税を抑える効果が期待できます。

特に、預貯金や不動産のように分けにくい資産を持っている家庭では、保険金を現金で受け取れる点が遺産分割の円滑化にもつながります。

つまり、変額保険は単なる資産運用商品ではなく、税金対策や相続の備えとしての役割も果たせる可能性があるのです。

変額保険のデメリットと注意点

お客様:「ここまで聞くと良さそうに思えますけど…やっぱりリスクもあるんですよね?」

FP:「はい。大事なのは“デメリットを理解したうえで納得して契約すること”です。ここを知らずに加入すると後悔につながるケースが多いんです。」

元本割れのリスクがある

変額保険の最も大きな注意点は、運用結果によっては元本割れのリスクがあることです。

銀行預金や従来型の終身保険とは異なり、投資信託と同じように市場環境の影響を強く受けます。

株式市場が下落したり、長期間低迷した場合には、解約返戻金や満期保険金が支払った保険料総額を下回る可能性もあります。

特に契約から数年以内に解約すると、保険料に含まれる手数料や初期コストの影響も大きく、元本割れのリスクは高まります。

「途中でやめたら損をする」という点を理解しておくことが重要です。

変額保険はあくまで長期運用を前提とした商品であり、短期的な資金需要には向かないことを知っておきましょう。

保険コストが高めで運用効率が下がる可能性

変額保険には、保障と運用を両立させる仕組みが組み込まれています。

そのため、純粋な投資信託に比べるとコスト(保険関係費用や運用管理費用など)が高めに設定されているのが一般的です。

保険料の中から保障部分に充てる金額や手数料が差し引かれるため、実際に運用に回る金額は想像より少なくなります。

特に契約初期は、積立金から保険関係費用が多く差し引かれるため、思ったより資産が増えないことに驚く人も少なくありません。

さらに長期で運用すれば手数料の負担も積み重なり、トータルのリターンを押し下げる要因になります。

つまり「保障と投資を一体にする便利さ」と引き換えに「運用効率の低下」というデメリットを受け入れる必要があります。

投資効率を優先するなら、保険と投資を分けて考えた方が合理的な場合もあります。

仕組みが複雑で理解しないまま加入すると後悔しやすい

変額保険は、一般的な終身保険や定期保険に比べて仕組みが複雑です。保険料の内訳、特別勘定の選び方、死亡保障と解約返戻金の関係、さらには為替リスク(外貨建ての場合)など、理解すべきポイントが多岐にわたります。これらを十分に理解しないまま「資産形成もできてお得そう」と感じて加入すると、後で「思ったより増えない」「途中解約で損をした」と後悔するケースが少なくありません。

また、営業担当者から説明を受けても、専門用語が多くてイメージがつかみにくいのが実情です。特に30代のうちはライフイベントが多く、教育費や住宅ローンなど支出の変動が大きいため、商品の柔軟性を見極めることが大切です。加入前には仕組みをしっかり理解し、自分の資金計画に合っているかを確認することが必要不可欠です。

変額保険はこんな人に向いている・向いていない

お客様:「ここまで聞くと、いい面と悪い面の両方があるんですね…。じゃあ結局、どんな人が入った方がいいんですか?」

FP:「そうですね。変額保険は“合う人には合うけれど、合わない人には合わない”商品です。ここを整理すると分かりやすいですよ。」

変額保険が向いている人の特徴

変額保険は、長期的な資産形成と保障を一体で考えたい人に向いています。例えば、投資経験がある程度あり「リスクを理解したうえで長期運用をしたい」と考える人や、教育費や老後資金を積み立てながら万一の備えも確保したい人には適しています。

また、保険でしか活用できない節税効果や相続の非課税枠を利用したい人にとっても有効です。さらに、投資と保険を別々に管理するのが面倒だと感じる人には「ワンストップで保障と運用を任せられる」点がメリットになります。

要するに、長期運用に耐えられ、多少の価格変動を受け入れつつ、保障とのバランスを重視したい人が変額保険に向いているといえるでしょう。

変額保険が向いていない人の特徴

一方で、変額保険は「元本保証が絶対条件」という人には向いていません。投資リスクを避けたい、安定した貯蓄を優先したいという場合は、通常の終身保険や貯蓄性の高い保険、あるいは銀行預金の方が安心です。

また、数年以内に住宅購入や転職などでまとまった資金が必要になる人にも不向きです。変額保険は長期運用を前提とするため、途中解約すると手数料が大きくかかり、損をしてしまう可能性が高いからです。

さらに、自分で投資商品を選んで積極的に資産運用をしたい人にとっては、保険会社が提供するファンドに限定される変額保険は自由度が低く、物足りなさを感じるかもしれません。

つまり、安定を第一に考える人や短期的な資金ニーズがある人には不向きといえるでしょう。

まとめとFP相談のご案内

お客様:「メリットとデメリット、両方分かりましたけど…結局私は入った方がいいんでしょうか?」

FP:「これは“正解が一つではない”商品なんです。だからこそ、自分のライフプランに合っているかどうかを基準に考えるのが大切ですよ。」

メリット・デメリットの総まとめ

変額保険は「死亡保障」と「資産形成」を一体化できるユニークな商品です。

運用成果によって将来の受取額が増える可能性がある一方、元本割れのリスクや保険コストの高さといった注意点もあります。

【メリット】

運用成果で受取額が増える可能性 死亡保障を確保できる 節税・相続対策に活用できる場合も

【デメリット】

元本保証がない 保険コストが高めで運用効率が下がる 仕組みが複雑で理解不足だと後悔しやすい

このように一長一短があるため、「どちらが優れているか」ではなく「自分の価値観や目的に合うかどうか」で判断するのがポイントです。

迷ったらまずはFPに相談を

変額保険は、理解すれば強力な選択肢になり得ますが、十分に理解しないまま契約すると「こんなはずじゃなかった」と後悔する人も少なくありません。

特に30代は、住宅購入・子育て・老後準備とお金に関するイベントが次々と訪れる時期です。その中で「今どんな保障や運用が必要か」を整理することが大切です。

もし「自分に合っているか判断が難しい」と感じるなら、まずは専門家に相談するのが最も安心です。中立的な立場でライフプランを踏まえた提案を受けることで、自分にとって最適な選択肢が見えてきます。

変額保険に限らず、他の保険や資産形成方法も含めて比較検討することで、将来の不安を減らし、納得できる判断ができるはずです。

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この記事を書いた人

本サイトを運営している現役FP

■経歴■
保険代理店で10年以上活動し2,000世帯以上とFP相談を行うも手数料ビジネスに嫌気がさし、FIREの実現を機に独立。

商品を販売しない自由なFPとして、自分が本当に伝えたいことを「わがまま」に遠慮なく有益な情報をお届け!

■保有資格■
-FP1級技能士
-CFP®
-証券外務員一種
-宅地建物取引士
-中小企業診断士
-貸金業務取扱主任者

詳しいプロフィールはこちらのリンクをご覧ください。

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