「家族を養っていると税金が安くなるって聞いたけど、それって本当?」
「扶養控除って聞いたことはあるけど、実際どういう制度なの?」
今回はそんな疑問に答えるために、「扶養控除」についてやさしく解説します。
扶養控除は、家族を支えている人の税金を軽くする制度です。
ただし、対象になる人や控除額には条件があり、少し複雑な面もあります。
この記事では、扶養控除のしくみや注意点を、わかりやすく整理していきます。

わがままボーヤ
マネー相談室長
本サイトを運営している現役FP
保険代理店で10年以上活動し2,000世帯以上とFP相談を行うも手数料ビジネスに嫌気がさし、FIREの実現を機に独立
商品を販売しない自由なFPとして、自分が本当に伝えたいことを「わがまま」に遠慮なく有益な情報をお届け!
扶養控除ってどんな制度?
扶養控除は、生計をともにしている家族(親族)を扶養している人の所得税や住民税を軽くする制度です。
扶養控除の対象になるのは、たとえば次のような人です。
- 高校生以上の子ども(16歳以上)
- 大学生など、まだ働いていない子ども
- おじいちゃん・おばあちゃん(同居や仕送りで生活を支えている)
- 兄弟姉妹や親戚など(条件を満たせばOK)
ただし、扶養に入れるにはいくつかのルールがあります。
- 扶養される人の年間所得が48万円以下(給与収入で約103万円以下)であること
- 生計を一にしている(同居または定期的に仕送りしている)こと
- 配偶者以外であること(配偶者は別の「配偶者控除」の対象)
控除額はいくら?家族の年齢や状況で変わります
扶養控除で税金が安くなる金額は、扶養している家族の年齢や同居・別居の状況によって変わります。
以下は所得税の控除額の例です。
扶養する家族のタイプ | 控除額(所得税) | 補足説明 |
---|---|---|
一般の扶養親族 (16〜18歳、23〜69歳) | 38万円 | 高校生や成人した兄弟姉妹など |
特定扶養親族 (19〜22歳) | 63万円 | 大学生など、進学中の子どもが対象 |
老人扶養親族 (70歳以上) | 48万円 | 離れて暮らす高齢の親など |
同居の老人扶養親族 (70歳以上) | 58万円 | 同じ家に住んでいる親や義父母など |
※16歳未満の子どもには扶養控除は適用されません(児童手当の制度があるため)。
配偶者控除とはどう違うの?
「配偶者も家族なのに、扶養控除じゃないの?」と疑問に思うかもしれません。
実は、配偶者(夫や妻)については「配偶者控除」や「配偶者特別控除」という別の制度が用意されています。
ざっくり分けるとこうです。
- 扶養控除 → 配偶者以外の家族(子ども、親など)が対象
- 配偶者控除 → 配偶者の収入が年収103万円以下なら適用
- 配偶者特別控除 → 配偶者の年収が103万円を超えても、最大133万円まで段階的に控除される
混同しやすい制度ですが、対象者や控除額、申告方法が違うので注意しましょう。
扶養控除を受けるために必要な手続きは?
会社員の場合、年末調整で「扶養控除等申告書」を提出すれば、扶養控除が適用されます。
自営業や副業がある方は、確定申告で申請することも可能です。
申告のときに必要な情報は以下のとおりです。
- 扶養する家族の氏名・生年月日・続柄
- マイナンバー
- 同居か別居か
- 扶養される家族の収入(所得)の見込み
- ※別居の親などを扶養に入れる場合は「仕送りしている証拠(振込明細など)」があると安心
扶養控除を使えないケースもあるので注意!
いくつかの条件に当てはまると、扶養控除の適用外になることがあります。
注意したいのは次のようなケースです。
- 扶養される人の所得が48万円を超えている(給与収入で103万円超)
- 配偶者を扶養控除に入れようとしている(別の制度になります)
- 一緒に暮らしていない家族で、仕送りなどがされていない場合
- 海外にいる家族で、実際に生計が別になっている場合
また、扶養控除以外にも「障害者控除」や「勤労学生控除」といった制度が併用できることもあります。状況に応じてチェックしてみてください。
まとめ
扶養控除は、家族を支えている人の税金を軽くしてくれる大事な制度です。
扶養される人の年齢や所得、同居の有無によって控除額が変わるので、自分の家庭状況と照らし合わせて確認してみましょう。
特に年末調整や確定申告のタイミングでは、誰を扶養に入れるか、必要な書類はそろっているかを早めに確認しておくと安心です。