「育児休業を取りたいけど、実際にいくらもらえるの?」
「計算方法が複雑でよくわからない…」
そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。育児休業給付金は、育休中の生活を支える重要な制度です。この記事では、育児休業給付金の計算方法を具体例を交えながら、わかりやすく解説します。
2025年4月から新制度も始まっているので、最新情報もあわせてお伝えします!
育児休業給付金とは?基本を押さえよう
育児休業給付金は、育休中に雇用保険から支給される手当です。育児休業中は企業から給与が出ないケースがほとんどなので、国が生活を支援するために制度を整えています。
どんな人がもらえるの?
育児休業給付金をもらえるのは、以下の条件を満たす人です:
対象者
- 雇用保険に加入している人
- 正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員も対象
受給条件
- 育児休業開始前2年間に、月11日以上働いた月が12か月以上ある
- 育休中の給与が、休業前賃金の8割未満
- 育休中の就労日数が月10日以下(10日を超える場合は月80時間以下)
有期雇用の方は、子どもが1歳6か月になるまで契約が続くことも条件に含まれます。
いくらもらえるの?
支給額は時期によって変わります:
- 180日目まで:給与の約67%
- 181日目以降:給与の約50%
2025年4月からは条件によって最大80%まで引き上げられています(詳しくは後述)。
育児休業給付金の計算方法をマスターしよう
基本の計算式
育児休業給付金の計算式はシンプルです:
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率 = 育児休業給付金
ここで重要なのが「休業開始時賃金日額」です。これは、育児休業開始前の直近6か月間の賃金総額を180日で割った金額です。
計算例 月給30万円の場合:
- 6か月の賃金総額:30万円 × 6か月 = 180万円
- 休業開始時賃金日額:180万円 ÷ 180日 = 10,000円
給付率の変化に注意!
育児休業給付金の給付率は、取得期間によって変わります:
期間 | 給付率 | 理由 |
---|---|---|
育休開始〜180日目 | 67% | 育児に専念する初期の負担を考慮 |
181日目以降 | 50% | 長期的な制度の持続性を考慮 |
長期間の育休を考えている方は、この変化を頭に入れておきましょう。
【実例付き】あなたの給付金をシミュレーション
実際にどのくらいもらえるのか、具体的な金額で見てみましょう。
月給30万円の場合の詳細計算
180日目まで(67%) 10,000円 × 30日 × 67% = 201,000円/月
181日目以降(50%) 10,000円 × 30日 × 50% = 150,000円/月
月給別支給額一覧表
月給 | 180日目まで | 181日目以降 |
---|---|---|
20万円 | 134,000円 | 100,000円 |
25万円 | 167,500円 | 125,000円 |
30万円 | 201,000円 | 150,000円 |
35万円 | 234,500円 | 175,000円 |
40万円 | 268,000円 | 200,000円 |
45万円 | 301,500円 | 225,000円 |
50万円 | 335,000円 | 250,000円 |
この表を参考に、ご自身の給与で計算してみてください。
知らないと損する!計算時の重要な注意点
1. 支給額には上限・下限がある
「高収入だからたくさんもらえる」というわけではありません。育児休業給付金には上限額が設定されています。
2025年7月31日までの限度額
- 67%支給時の上限:315,369円/月
- 50%支給時の上限:235,350円/月
- 下限額:57,666円/月(67%時)、43,035円/月(50%時)
2. 育休中に給与をもらうと減額される
「育休中も少し働いて給与をもらおう」と考えている方は要注意です。給与の額によって給付金が減額されたり、支給停止になったりします。
180日目までの場合
- 給与が休業前月額の13%以下 → 通常通り67%支給
- 13%超〜80%未満 → 減額支給
- 80%以上 → 支給停止
181日目以降の場合
- 給与が休業前月額の30%以下 → 通常通り50%支給
- 30%超〜80%未満 → 減額支給
- 80%以上 → 支給停止
3. 計算の複雑さを理解しよう
実際の計算では、以下の要素も考慮されます:
- 支給日数(月によって異なる)
- 賞与の取り扱い
- 社会保険料の控除
不安な場合は、勤務先の人事担当者やハローワークに相談することをおすすめします。
【2025年4月新制度】手取り100%相当の画期的な変更
2025年4月から、育児休業給付金に大きな変更がありました。新しく「出生後休業支援給付金」が創設され、条件を満たせば手取りが休業前の100%相当になります。
出生後休業支援給付金とは
この新制度は、父母がともに育児休業を取得した場合に適用される特別な給付金です。
新制度の特徴
- 適用期間:子どもが生まれてから28日間
- 給付率の上乗せ:通常の67%に13%追加で最大80%
- 社会保険料免除と合わせて実質手取り100%相当
従来制度との比較
項目 | 従来 | 2025年4月以降 |
---|---|---|
給付率 | 67% | 最大80% |
社会保険料 | 免除 | 免除(変更なし) |
実質手取り | 約80% | 約100% |
適用条件 | 個人取得 | 父母ともに取得 |
なぜこの制度ができたの?
この新制度の目的は「男性の育児休業取得率向上」です。経済的な不安を解消することで、より多くの男性が安心して育児休業を取得できる環境を整えています。
育児休業給付金の延長について知っておこう
延長できる期間
原則として育児休業給付金は子どもが1歳になるまでですが、条件を満たせば延長可能です:
延長段階 | 期間 | 主な条件 |
---|---|---|
基本 | 1歳まで | 通常の育休期間 |
第1段階 | 1歳6か月まで | 保育園に入れない等 |
第2段階 | 2歳まで | さらに保育園に入れない |
延長の条件
以下のような事情がある場合に延長できます:
- 保育園等に入園できない
- 申し込んだが待機児童になった
- 希望する保育園に空きがない
- 配偶者が養育できなくなった
- 病気やケガで養育困難
- 死亡や離婚などの事情
- 新たな妊娠・出産
- 産前産後休業を取得する場合
2025年4月からの変更点
延長申請の要件が厳格化されました。保育園入園不可による延長には、従来の書類に加えて以下が必要です:
- 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
- 保育所等の申込書のコピー
- 市区町村発行の利用不可通知書
重要:単に「申し込みをした」だけでは不十分で、実際に「復職の意思を持って申し込んだ」ことを証明する必要があります。
育児休業給付金を最大限活用するコツ
1. 事前のマネープランニング
育児休業を取得する前に、以下を確認しましょう:
- 休業前6か月の給与明細を確認
- 予想される支給額を計算
- 家計の収支バランスをシミュレーション
2. 新制度の活用
2025年4月の新制度を活用したい場合:
- パートナーとの育休取得タイミングを相談
- 出生後28日間の同時取得を計画
- 勤務先への早めの相談と調整
3. 延長の可能性を考慮
保育園激戦区にお住まいの方は:
- 早めの保育園情報収集
- 延長時の必要書類を事前に確認
- 復職時期の柔軟な計画立て
4. 税金・社会保険の理解
育児休業中は:
- 育児休業給付金は非課税
- 社会保険料は免除
- 住民税は前年収入に基づき課税される点に注意
よくある質問と回答
Q1. 育児休業給付金はいつもらえますか?
A1. 原則として2か月に1回、後払いで支給されます。初回は育休開始から約3〜4か月後になることが多いです。
Q2. 双子の場合は2倍もらえますか?
A2. いいえ、双子でも給付金額は変わりません。ただし、育休期間は通常通り取得できます。
Q3. 育休中に退職した場合はどうなりますか?
A3. 退職した時点で給付金の支給は停止されます。復職の意思があることが支給条件の一つです。
Q4. パートナーが専業主婦でも新制度は使えますか?
A4. 新制度(出生後休業支援給付金)は父母ともに育児休業を取得することが条件なので、専業主婦の場合は適用されません。
まとめ:安心して育児休業を取得するために
育児休業給付金の計算方法をまとめると:
基本の計算式 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率(67%または50%)
重要なポイント
- 180日目を境に給付率が変わる(67%→50%)
- 支給額には上限・下限がある
- 2025年4月から新制度で最大手取り100%相当
- 延長条件が厳格化されている
育児休業は、子どもとの大切な時間を過ごす貴重な期間です。制度を正しく理解して、安心して育児に専念できる環境を整えましょう。
不明な点があれば、勤務先の人事担当者やハローワークに相談することをおすすめします。あなたの育児休業が充実したものになることを願っています。