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年金の請求を忘れていたらどうなる?時効・税金・繰下げの注意点と対策を徹底解説

年金の請求を忘れていたらどうなるの?

まとめて請求すると税金が高くなるって本当?

公的年金は請求しないと支給されない「請求主義」が基本です。放置してしまうと、本来受け取れる金額を損してしまうケースもあります。

この記事では、年金の請求を忘れた場合の影響や、時効や税金の仕組み、繰下げ受給との違いなどを分かりやすく解説します。

損をしないために知っておきたいポイントをぜひ確認してください。

目次

年金の請求を忘れていたらどうなる?基本ルールを知ろう

年金は、65歳になったら自動的に振り込まれるものだと思っていませんか?

実は、公的年金は「請求主義」という仕組みになっており、自分で請求しないと支給されません。

そのため、65歳以降に何もせず放置していると、年金は支給されずそのまま国庫に留まったままになります。

請求のタイミングや流れを理解し、受け取り損ねることがないように注意しましょう。

年金は請求しないと支給されない

公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金など)は、受給資格があるだけでは振り込まれません。

必ず「裁定請求」という手続きを行い、日本年金機構に届け出る必要があります。

これを行わない限り、年金の支払いは開始されません。

65歳になると届く「年金請求書」

65歳になると、日本年金機構から「年金請求書(裁定請求書)」が自宅に送付されます。

必要事項を記入し、添付書類とともに提出することで、年金の受け取りが開始されます。

もし書類が届かない場合や紛失した場合は、年金事務所や街角の年金相談センターで再発行してもらえます。

放置しても自動的に増えたりはしない

65歳から何年も放置した場合、その分が自動的に繰下げ受給として増額されるのでは、と誤解している人も少なくありません。

しかし、放置しても繰下げ受給にはならず、単に未請求のまま支給が止まっている状態です。

繰下げを希望する場合も、必ず申出が必要です。

時効に注意!過去分はいつまで遡れる?

年金の請求を忘れていても、一定期間であれば過去にさかのぼってまとめて受け取ることが可能です。

しかし、年金には時効があるため、遅れれば遅れるほど受け取れない部分が発生してしまいます。

「まだ間に合う」と油断せず、時効についてしっかり理解しておきましょう。

年金の時効は「5年」

公的年金の未支給分は、原則として過去5年まで遡って請求することができます。

例えば、65歳で年金の受給資格があるのに請求を忘れ、69歳で初めて請求した場合は、65歳からの4年分をまとめて受け取れます。

一方、もし71歳で請求した場合は、65歳から66歳の分は時効で消えてしまい、請求できるのは直近5年分だけになります。

過去5年以内ならまとめて支給される

時効の範囲内であれば、未支給分は請求のタイミングで一括して支払われます。

たとえば3年間放置していた場合、その3年間の分がまとめて振り込まれます。

受け取り方は自動的に一括払いになりますので、自分で「分割して欲しい」と申し出ることはできません。

時効を過ぎた分は受け取れない

5年を過ぎた分については、法律上時効が成立し、もはや請求しても支給されません。

「繰下げを選んでいないのに65歳から放置していた」という場合、70歳を超えるとそれ以前の分は消滅してしまうので注意が必要です。

まとめて受け取ると税金はどうなる?注意点と対策

年金をまとめて請求すると、過去分を一括で受け取れるのはメリットですが、その分税金が高くなるリスクもあります。

なぜなら、公的年金は「雑所得」として課税対象になるためです。

まとめて請求する場合は、税金や社会保険料への影響も考えておきましょう。

年金は「雑所得」で課税される

公的年金は雑所得に分類され、所得税や住民税の対象になります。

通常、毎年少しずつ受け取る場合は、年金控除や基礎控除が適用され、多くの人は非課税か、軽い負担で済みます。

しかし、まとめて請求すると過去数年分が一気に支払われるため、その年の年金所得が大きく膨らみ、控除しきれず課税額が増えてしまう可能性があります。

まとめて受け取ると課税所得が増える

例えば、65歳から4年間請求を忘れ、69歳で請求すると、その年の年金収入は4年分が加算されます。

課税所得が増えると、所得税や住民税だけでなく、健康保険料や介護保険料の自己負担割合も上がる場合があります。

特に、住民税の非課税限度額を超えると、翌年以降の医療費負担や介護サービスの負担額が変わってくる点にも注意が必要です。

税負担を抑えるための控除活用

税負担を軽くするには、医療費控除や社会保険料控除、配偶者控除など、適用できる控除を確定申告で活用することが大切です。

また、放置せずに65歳の時点で請求しておくことで、毎年の収入が一定になり税負担が軽減されます。

やむを得ずまとめて請求する場合は、年金事務所や税理士に相談し、どのくらいの税負担になるか試算しておくと安心です。

繰下げ受給とは?放置との違いや上手な活用方法

年金の請求を遅らせると、「繰下げ受給で年金が増えるのでは」と思う人もいますが、実際には少し仕組みが違います。

繰下げ受給は、単に請求を忘れて放置しただけでは適用されません。

ここでは、放置との違いと、繰下げ受給を上手に活用するポイントを解説します。

繰下げ受給は申出が必要

繰下げ受給とは、65歳からの年金の受給開始を66歳以降(最大70歳まで)に遅らせることで、1か月あたり0.7%ずつ年金額が増える仕組みです。

最大で42%まで増やすことができます。

ただし、繰下げ受給は「繰下げたい」という本人の申出が必要です。

請求をしないまま放置しても、自動的に繰下げ受給にはなりません。

放置は繰下げにならない

65歳以降に何も手続きせずに放置していた場合、それは単に未請求の状態です。

この場合、繰下げの増額はされず、時効が進んで過去分が受け取れなくなるリスクがあります。

繰下げ受給を選びたい場合は、65歳以降のタイミングで繰下げの申出をしておく必要があります。

繰下げのメリットとデメリット

繰下げ受給には、年金額が増えるというメリットがありますが、受給開始が遅れるため、長生きしないと元が取れないというデメリットもあります。

生活資金や健康状態、家族の状況などを踏まえ、自分に合ったタイミングを検討することが大切です。

【まとめ】年金を損しないために今すぐできること

年金の請求を忘れていたり、よく分からないまま放置していたりすると、本来受け取れるはずの年金を受け取れなかったり、税負担が増えたりするリスクがあります。

公的年金は「請求主義」が原則です。受給資格があっても自分で手続きしなければ支給されません。

年金を損せずに受け取るために、今すぐできることを確認しておきましょう。

時効前に早めに請求する

年金の未支給分は5年を過ぎると時効で消滅します。

放置せず、65歳の誕生日が近づいたら書類を確認し、届いていない場合は年金事務所に相談して早めに手続きしましょう。

すでに65歳を過ぎている人も、できるだけ早く請求することで損失を最小限にできます。

控除や確定申告を活用する

年金をまとめて受け取る場合は、税金や社会保険料の負担が増える可能性があります。

確定申告で医療費控除や社会保険料控除、配偶者控除などを活用すれば、課税所得を減らして負担を軽くすることができます。

税金について不安がある場合は、税務署や税理士に相談してみましょう。

年金事務所で相談するのが安心

制度は複雑で、個人の状況によってベストな選択肢は異なります。

年金事務所や年金相談センターでは、無料で相談を受け付けていますので、疑問や不安がある人は早めに相談するのがおすすめです。

年金は、気づいたときが最善のタイミングです。

早めの請求と正しい知識で、安心した老後のスタートを切りましょう。

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この記事を書いた人

本サイトを運営している現役FP

■経歴■
保険代理店で10年以上活動し2,000世帯以上とFP相談を行うも手数料ビジネスに嫌気がさし、FIREの実現を機に独立。

商品を販売しない自由なFPとして、自分が本当に伝えたいことを「わがまま」に遠慮なく有益な情報をお届け!

■保有資格■
-FP1級技能士
-CFP®
-証券外務員一種
-宅地建物取引士
-中小企業診断士
-貸金業務取扱主任者

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